冬に増える咳の症状 長引く場合は受診したほうがいい?
投稿日: 2024年01月22日
![咳](https://www.kangoworks.com/knowledge/wp-content/uploads/2024/01/pixta_86923859_M-560x315.jpg)
会社や電車などで咳をする人を多くみかけるようになりました。長引くとさらなる体調不良になってしまう咳の症状。注意すべきことや適切な治療、対処法にはどんなことがあるのでしょうか。
咳は身体の防衛反応
そもそも、咳とは身体に備わっている防衛反応です。のどは直接外気に触れやすいため、咳をすることで、ウィルスや細菌などが入ってきた時に、気管支や肺をはじめとする身体の中に侵入することを防ぐ働きがあるのです。これが、防衛反応という意味です。また、気道にある「絨毛(じゅうもう)」と呼ばれる組織はウィルスなどの細かい異物を外に押し出していて、その異物が粘液と混ざってできる痰(たん)を「コホンッ」と外に出すことも咳の役割です。咳は空気の乾燥やハウスダスト、花粉症などの症状として、また、タバコの煙といった刺激によって一時的に起こることもあります。
咳と一緒に出やすい症状
咳と一緒に出やすい症状について解説をしましょう。
痰
痰はウィルスが体内に侵入することを防ぐために、ウィルスを喉の粘液でからめとることで作られるものです。痰も咳と同じように、身体に備わっている防衛反応の一つといわれます。事実、炎症がひどくなると痰の量が増えて粘り気も強くなり、色も変化します。感染症のほか、喘息や気管支炎、ハウスダストなどの症状でも、咳といっしょに痰がでる場合もあります。
熱
熱は風邪やインフルエンザなどの代表的な症状です。咳と微熱がいっしょにでている場合は、感染症にかかっている可能性が高いです。数日で治まれば問題ありませんが、長引く場合は肺炎や重篤な病気が原因となっていることもあるため、くわしい検査が必要です。
咳の対処法
咳は身体を守る防衛反応ですが、体調の悪化にいたってしまうこともあります。咳の症状を緩和させる薬もあるので、家庭や医療機関で適切な治療をすることも必要になります。
家庭で行う対処法
咳が長引き喉に痛みがでたり、咳のために睡眠できず困る時は、薬局で市販の薬を購入し症状を抑えることができます。熱や鼻水など全身の症状を伴う風邪の場合は、総合感冒薬が適していますが、風邪の後に咳が長引く場合は、咳に特化した薬を選びましょう。また、アレルギーとして咳の症状がでる場合には、抗ヒスタミン剤が配合されている薬が有効です。
医療機関で行う治療
咳が2週間以上長引く場合や、痰に血が混じるような場合は、必ず病院を受診し適切な検査・治療を受ける必要があります。喘息の場合は吸入薬を用いたり、肺炎の場合は原因の菌を特定し抗菌薬を内服するなど、正しい治療を行わなければ治らない病気も多々あります。自己判断で長期間、様子をみることはないようにしましょう。
喉になるべく負担をかけないためには、こまめにうがいをしたり、マスクの着用を心がけましょう。また、乾燥しがちな冬は特に部屋の湿度を保ち、水分を適切に補給することやこまめな掃除も大切です。タバコを控えることはもちろん、喉の調子が悪いときには、辛い物やお酒といった刺激物を控えたり、カラオケなどで歌い過ぎないよう注意しましょう。
<執筆者プロフィール>
井上 愛子(いのうえ・あいこ)
保健師・助産師・看護師・保育士。株式会社Mocosuku社員、産業保健(働く人の健康管理)のベテラン