臭い玉で口臭が悪化・・・原因と対策について
投稿日: 2024年06月27日
口臭は不快な臭気です。嗅覚はニオイに順応するので、自分の口臭があるのかどうかわからない人も多いようです。それが逆に、口臭が臭いのではないかと悩ませてしまうことにもなっているようです。口臭の原因の一つとして「臭い玉」というものがあります。どんなものなのか、解説します。
「臭い玉」の正体
口臭のほとんどは口の中のガスが原因だとされています。口中に生息している嫌気性細菌が、血液、唾液、古くなった細胞や食べかすなどに含まれているタンパク質を分解して、硫化水素、メチルメルカプタン、ジメチルサルファイドといった揮発性硫黄化合物を産生することで、これらが臭いのもととなって口臭が発生します。
こうした口臭のひとつの原因となるのが、「臭い玉」で、医学的には「膿栓(のうせん)」あるいは「扁桃栓子(へんとうせんし)」「扁桃結石」などといわれます。臭い玉は扁桃の穴に粘液と細胞の死骸が集まってできた、米粒大の乳白色をした固まりです。咳やクシャミをした時に突然にノドから飛び出てくることもあるので、初めて見るとビックリする人もいるそうです。つぶすと下水のような悪臭を発するので、「臭い玉」と呼ばれます。
臭い玉ができる原因
膿栓は免疫作用によってできます。呼吸をすると口からウィルスや細菌がのどに侵入します。あるいは、のどや鼻に炎症が起きると、のどに細菌が増えます。このように、のどには常に細菌やウィルスが侵入してくるので、扁桃から白血球などの免疫物質が出ています。そして、この免疫の過程で細菌などと免疫物質の死骸が扁桃の穴にでき、最初はネバネバ状態ですが、食べかすなどと混ざって乾燥すると、徐々に固まっていって「臭い玉」になります。さらに、臭い玉ができると、腐敗した臭い玉に細菌が繁殖し、それを阻止するために免疫物質が出て混じり、臭い粘液である膿汁ができ、これが、黄色や茶黄色で、下水臭やうんこ臭を発します。
臭い玉はのどに侵入した細菌などへの免疫作用によってできますが、では、どうしてのどに細菌などが増えるのかについては、次のような(間接的な)原因が挙げられます。
口呼吸
鼻づまりになっていると、口呼吸になります。花粉症や風邪などで知らず知らず口呼吸になっていると、臭い玉ができやすくなります。
ドライマウス症
つねに口の中が粘ついたような状態になっている、口の中が乾いている、食べ物が飲みこみにくい、日中に水をしばしば飲む、夜中にのどが渇いて水を飲むなどといった症状が3か月以上続くと、ドライマウス症が疑われます。口呼吸と同じように、のどに細菌などが繁殖しやすく、臭い玉ができやすくなります。また、健康な人なら唾液や食事で膿栓を胃に洗い流すことができるのに、ドライマウスや口呼吸では、臭い玉を洗い流すことができません。
副鼻腔炎(蓄膿症)
副鼻腔に脳がたまる「ちくのう症」。副鼻腔にたまった膿がのどに落ちる後鼻漏(こうびろう)となり、膿栓ができて口臭を発生します。風邪やアレルギー性鼻炎でも、後鼻漏はできます。
臭い玉の予防法
臭い玉ができる原因に扁桃炎や副鼻腔炎が原因となる場合もあるので、気になる人は耳鼻科への受診をおすすめします。臭い玉ができないようにするには、何より、唾液が出るようにし、のどが渇かないことが大切です。口呼吸の原因となる鼻づまりなどを解消することも重要です。また、のどの乾燥に困っているなら、のどの保湿も有効でしょう。こまめに水を飲んだりしましょう。
<執筆者プロフィール>
吉村 佑奈(よしむら ゆうな)
保健師・看護師。株式会社Mocosuku社員。某病院での看護業務を経て、現在は産業保健(働く人の健康管理)を担当