注目される「ハラスメント」 その種類と対策について
投稿日: 2022年05月10日
最終更新日: 2022年06月06日
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「○○ハラスメント」という言葉をよく耳にするようになりました。近年では厚生労働省も予防法や対策を紹介していて、世間の注目度が高いトピックのひとつです。そんなハラスメント問題のキホンについて、ご紹介します。
ハラスメントの種類
ハラスメント(harassment)は、英語では、「苦しめること」「悩ませること」「迷惑」といった意味合いのことばで、日本語では「嫌がらせ」「いじめる」という意味で使われています。
最近では、さまざまな種類の「ハラスメント」が造られています。代表的なものとして、セクシャル・ハラスメント(セクハラ)、パワー・ハラスメント(パワハラ)、モラル・ハラスメント(モラハラ)が挙げられます。
- セクハラ:時・場所・相手をわきまえずに、相手を不愉快にさせる性的な言動
- パワハラ:職権などの権力・権威を背景に、本来の業務の範囲を越えて、継続的に人格と尊厳を侵害する言動を行なって、就業環境の悪化や雇用不安を招くこと
- モラハラ:道徳(モラル)上ゆるされない、他者に迷惑をかける行為・いやがらせ全般。とくに加害者の自己愛的な性格による精神的嫌がらせが強調されている
そのほか、パワハラの学校バージョンの「アカハラ(アカデミック・ハラスメント)」、医師による病院でのパワハラ「ドクハラ(ドクター・ハラスメント)」、職場での妊婦への嫌がらせ「マタハラ(マタニティ・ハラスメント)」、就職活動中の学生への「オワハラ(就活終われハラスメント)」など、最近では、「○○ハラスメント」ばやりの感さえあるほどです。
された側の立場に立って考えることが、問題解決の第一歩
主として職場でのハラスメントが注目されていることもあって、厚生労働省はホームページで、セクハラやパワハラに対する予防や対策を公開しています。たとえば、セクハラの場合ですと、ハッキリと拒絶すること、まず会社の窓口に相談すること、会社で対応してもらえないなら、都道府県労働局雇用均等室に相談窓口があることを奨励しています。
また、パワハラについても、これが許されないこと、起きている事実を明らかにすること、撲滅していくことといった、毅然とした個人の姿勢と会社など事業体の責任性を強調しています。自分がハラスメントをやってしまっているという意図(=自覚)が、ハッキリしていないことが、比較的意図がハッキリしている「いじめ」との違いだとも言われます。ハラスメントは、自分がどんなつもり(あるいは、そんなつもりはなかった)かよりも、相手がどう受け取っているかというところに基軸を置いた概念です。ですから、相手を理解する、相手にとって不快な言動を慎むという、相手中心の言動が、その解決への出発点になるのです。
<執筆者プロフィール>
井上 愛子(いのうえ・あいこ)
保健師・助産師・看護師・保育士。株式会社Mocosuku社員、産業保健(働く人の健康管理)のベテラン