脱水とはどんな状態?
投稿日: 2023年05月17日
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暑くなってくると気をつけたいのが、脱水です。では、そもそも脱水とはどんな状態を指すのでしょうか?今回は「身体の脱水」について解説します。
脱水とは
成人は体重のおよそ60%が水分(体液)だと言われます。新生児や小児はこれが70~80%、反対に高齢者は50%ほどになります。身体でもっとも水分量の多い筋肉の量が、高齢になると減少するためです。
さて、体内の水分量が不足した状態が「脱水」ですが、いくつかのタイプがあります。
・高張性脱水:発汗や水分摂取の低下によって体液が濃くなって起こる脱水です。細胞内の水が細胞外に移動し、細胞内液の水分が減少して口喝(口やのどの渇き)などが起こります。
・等張性脱水:出血や下痢、熱傷などで急速に細胞外液が失われることで起こる脱水です。
・低張性脱水:下痢や嘔吐などで水分が喪失し、細胞外から細胞内に水分が移動することで起こる脱水です。
暑い季節に多い脱水とは
このようにいろいろな原因によって脱水は起こりますが、夏などに起こりやすいのは、暑熱環境下で運動などをすることによって多量に発汗して起こる高張性脱水です。最高発汗量は1時間に1~2リットル、1日で7~10リットルという値もあるそうですから、とくにアウトドアでのスポーツなどは水分補給に十分留意しながらする必要があります。
日本体育協会は、水分損失量にともなって身体や精神に現れるさまざま症状について、次のようにまとめています。
・1%(水分損失量):大量の汗、のどの渇き
・2%:強いのどの渇き、めまい、吐き気、食欲減退、血液濃縮、尿量減少
・3%:発汗量減少
・4~8%:脱力感、疲労、ふるえ、ふらつき、体温上昇、めまい
・10~12%:マヒ、湿疹、循環不全
・15~17%:嚥下不能、排尿痛、皮膚の感覚鈍化、舌のしびれ
・18%:皮膚のひびわれ、尿生成の停止
・20%:生命の危機、死亡
参考:https://www.japan-sports.or.jp/Portals/0/data/ikusei/doc/k1-5.pdf
喉が渇いたという自覚がなくても水分補給を
アスリートなど運動に慣れた人でも、水分損失量が3%以上にならないように注意喚起されていますが、一般には1%(せいぜい2%)の水分損失量にならないように水分補給をするといいでしょう。汗をかいたり喉が渇いたりしたら水を飲みましょうということですね。その自覚がなくても、決まった時間にコップ一杯など、決まった量を飲むという飲み方も奨励されています。
最近、自分では気がつかないうちに脱水症の一歩手前まできてしまっているケースが増えています。「前脱水(まえだっすい)」と呼ばれます。夏バテや二日酔いも「前脱水」の現れという見方もあります。気がついたときには脱水が進んで熱中症になっていたということのないように、これからの時季は注意して水分補給に努めましょう。
<執筆者プロフィール>
井上 愛子(いのうえ・あいこ)
保健師・助産師・看護師・保育士。株式会社Mocosuku社員、産業保健(働く人の健康管理)のベテラン