尿のにおいや色はカラダのバロメーター!?
投稿日: 2022年06月10日
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あなたは、自分の尿のにおいや色をチェックしたことがありますか?
今回は、尿のにおいや色からどのようなことがわかるのか、お話しします。
尿のにおいからわかること
くさいイメージのある尿ですが、実は健康な人の場合、いわゆる悪臭がすることはありません。
尿に含まれる成分の98%は水で、残り2%のほとんどが尿素です。尿素は、タンパク質が分解されてできた老廃物で、水に溶けても無色無臭。つまり、体内から出たばかりの尿は、ほとんど臭わないのです。
トイレで尿が臭うのは、時間が経って尿素が細菌によって分解され、刺激臭をもつアンモニアへと変化するからです。最初から刺激臭がある場合は、膀胱などに細菌が繁殖しているか、尿が作られて排泄されるまでの尿路(腎臓・尿管・膀胱・尿道)に炎症を起こしている可能性があります。また甘ったるい臭いがする場合は糖尿病の疑いがあるので、尿検査を受ける必要があります。
尿の色からわかること
尿の色でも健康状態がわかります。
健康な人の尿は、黄色~淡黄色で透明です。尿が黄色いのは、胆汁に含まれる赤褐色の色素「ウロビリン」が混じっているためです。尿の色は、体調や精神状態、季節、運動量などによっても変化します。たとえば、水をたくさん飲んだ時や寒い時は色の淡い無色に近い尿が出ます。反対に、朝起きた時や汗をたくさんかいた時、風邪を引いて熱がある時などは、濃い黄褐色になることがありますが、一時的なものです。
また、服用した薬の成分の影響でも、尿に色がつくことがあります。例えば、口内炎やニキビなどに効果があるビタミンB2を服用すると濃い黄色になります。食べ物の色素や着色料が尿に出てくる場合もあるので、尿の色について、それほど神経質になる必要はありません。しかし、「目に見えて赤い」「白濁している」という場合は病気の疑いがあります。迷わず、内科か泌尿器科を受診してください。
●赤~ピンク
尿に血液が混じった、いわゆる血尿。排尿する時に痛みを伴う場合は膀胱炎が疑われ、腹部や腰などが痛む時は尿路結石の可能性があります。痛みなどの症状がないのに真っ赤な尿が出た場合(ワイン色やコーラ色の場合もあります)、腎臓や膀胱のがんなどの可能性があり、とても危険です。早めに受診してください。
●乳白色、白く濁る、白い浮遊物が出る
尿に細菌や白血球が混じっている状態。多くの場合は尿路の感染症。女性の場合、膀胱炎の可能性が高くなります。妊娠でも白く濁る場合があります。
●濃い茶色
肝機能に異常がある場合などは、尿の中に「ビリルビン」という色素や尿素が増え、色が褐色になります。
ちなみに、尿検査で「妊娠」がわかるのは、尿には微量ですがいろいろなホルモンが含まれているからです。妊娠すると胎盤からhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)というホルモン分泌されて、尿中に含まれるようになります。妊娠判定検査薬は、これを調べることで妊娠の可能性を判断します。
<執筆者プロフィール>
吉村 佑奈(よしむら・ゆうな)
助産師・保健師・看護師。株式会社Mocosuku社員。某病院での看護業務を経て、現在は産業保健(働く人の健康管理)を担当