インナーマッスルを鍛えるのはなぜ重要？役割について解説

投稿日: 2022年12月08日

昨今、インナーマッスルを鍛えるのことの重要性が広く知られるようになってきていますが、そもそもインナーマッスルとはどういうもので、どんな役割があるのでしょうか？今回はインナーマッスルについて取り上げます。
 

アウターマッスルとインナーマッスル

ふだん身体を鍛えた人が見せるムキムキの筋肉は、アウターマッスル（表層筋）と呼ばれます。割れている腹筋とか、二の腕に盛り上がっている力こぶなどがそれです。アウターマッスルには、大胸筋、腹直筋、腹斜筋、上腕二頭筋、大腿二頭筋、大腿四頭筋、広背筋、中臀筋、大臀筋などがありますが、これらの筋肉は、トレーニングをすると、目に見えたり手で触れたりすることで、その存在を確かめることができる筋肉です。また、アウターマッスルを鍛えるには、きつめの筋肉トレーニングと有酸素運動の両方が効果的です。
これに対してインナーマッスルは「姿勢保持筋」とも呼ばれ、身体動作や作業をする際に、安定した姿勢を保持し、バランスを保つ役割を担う身体深層部の筋肉です。具体的には、肩甲骨挙筋、腹横筋・多裂筋・横隔膜・骨盤底筋群、中臀筋、小臀筋、恥骨筋、大腰筋などがあります。
 

インナーマッスルの役割

インナーマッスルがなければ、人間がロボットのようにしか動けず、関節が真っすぐになって柔軟さや滑らかさが出せません。ものを投げたり腕を回したりという動作は、関節周囲のインナーマッスルが支えているからこそ、できることなのです。ですから、インナーマッスルの主な役割は、身体を動かす為の筋肉ではなく、姿勢などを保ち、安定化を図るための筋肉なのです。つまり、身体の正しい姿勢を保つこと、物をつかんだり投げたりするような、柔軟な動きを可能にする筋肉がインナーマッスルです。
 

インナーマッスルを鍛えることがなぜ重要なの？

とくに胴体部分のインナーマッスルを鍛えることは重要です。
たとえば、お腹の下部にある骨盤底筋群が、内臓のある腹腔を下から支えていて、お腹周りを腹横筋、内腹斜筋、多列筋が覆っています。これらのインナーマッスルが腹腔内の圧力を高めて、横隔膜を押し上げ、体幹をまっすぐに支えています。また、インナーマッスルを鍛えることで、体温を上げることができます。体温があがると基礎体温も上がるので、脂肪燃焼にも繋がり、太りにくい身体になるのです。これが、ダイエットにも欠かせない理由ですね。
 
また、腸腰筋（ちょうようきん）も重要です。腸腰筋とは、大腰筋と腸骨筋のふたつの総称ですが、大きな筋肉で、身体全体を支えていて、足を動かすとき、前屈する時などに働く筋肉です。大腰筋は背骨と脚を繋げていて、引っ張り上げる筋肉ですから、大腰筋が衰えると脚を上げにくくなります。少しの段差でつまずくことが多くなってきていたら、大腰筋が衰えてきている可能性があります。
また腸骨筋は、骨盤と脚を結んでいて、重量と拮抗させ身体全体を安定させる重要な筋肉です。腸骨筋が衰えると身体は、安定性を失ってふらついたり、足がうまく上がらなくなります。
腸腰筋などインナーマッスルの筋活動が高まると、腹直筋や背柱起立筋などのアウターマッスルの筋活動の負担が軽減されます。つまり、体幹がしっかりしていないと手足をうまく動かすことができないのです。
 
インナーマッスルは、人間の身体をコントロールする重要な筋肉です。内臓や全身の血流にも影響を与えています。インナーマッスルを鍛えることは、ダイエットに最適なだけでなく、メタボや生活習慣病、ロコモティブシンドロームの予防にもなります。
 
＜執筆者プロフィール＞
井上 愛子（いのうえ・あいこ）
保健師・助産師・看護師・保育士。株式会社Mocosuku社員、産業保健（働く人の健康管理）のベテラン