「ファ~」と思わず出るあくび その仕組みを知っていますか?
投稿日: 2023年02月09日
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仕事で疲れた時、眠い時、退屈な会議中に、つい出てしまう「あくび」。大口を開けて、「フワワ~」っと深く息を吸い込んで吐き出し、同時に手足を伸ばす・・・。よく考えてみたら、複雑な動作をする「あくび」は、不思議な生理現象です。ペットを飼っている人はわかると思いますが、犬や猫、インコ、カメなどもかわいい「あくび」をしますよね。お母さんのお腹にいる赤ちゃんだって、「あくび」をすることが知られています。では、なぜ人間は「あくび」をするのでしょうか?
あくびのしくみ
「あくび」は、脳の視床下部にある「室傍核(しつぼうかく)」という「あくび中枢」が刺激されて誘発されます。「室傍核」は脳の中でも原始的な部分なので、「あくび」は発生学的に古い行動だと考えられています。「あくび」には謎が多く、そのメカニズムははっきりと解明されていませんが、原因は脳の酸素不足で「あくび」をすることで脳を活性化している、という説が一般的です。つまり、脳に酸素を取り込むことによって、脳を覚醒しているわけです。その証拠として、「あくび」をしている時に脳波を測定すると、β(ベータ)波に代表される覚醒時の脳波が観察されるそうです。
「あくび」が出るのは、眠い時や退屈な時ばかりではありません。大事なプレゼンの直前に、不覚にも「あくび」をしてしまった、という経験はありませんか? スポーツ選手が試合をする前、ミュージシャンが舞台に立つ前、つまり「ここぞ」という緊張する場面でも、どういうわけか「あくび」が出ることがあります。このような過度の緊張にさらされた場面では、緊張をゆるめることで脳の覚醒を促し、より物事に集中させるために自然に「あくび」が出る、と言われています。
こんなあくびには要注意
注意してほしいのが、眠いわけでも退屈しているわけでもないのに、頻繁に出る「生あくび」。脳疾患や睡眠時無呼吸症候群など、何らかの病気のサインの場合もありますので、「生あくび」が頻繁に現れる人は呼吸器内科や脳神経科などを受診することをお勧めします。頭痛とも関係していると言われていて、片頭痛の前触れとして「生あくび」を伴うことがあります。
<執筆者プロフィール>
井上 愛子(いのうえ・あいこ)
保健師・助産師・看護師・保育士。株式会社Mocosuku社員、産業保健(働く人の健康管理)のベテラン