激しい運動で貧血に?「スポーツ貧血」とは
投稿日: 2024年01月11日
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スポーツ性貧血とも呼ばれる「スポーツ貧血」。最近はアスリート並みに運動して「スポーツ貧血」になる女性が増えています。運動をすることでマイナスにならないように、スポーツ貧血について知っておきましょう。
このページの目次
スポーツ貧血とは
スポーツ貧血になると、いわゆる「貧血」と同じ症状が起こります。動悸や息切れ、めまいや立ちくらみ、疲れやすいなどです。こうした症状の原因は、血液中の赤血球自体が減ったり、ヘモグロビン(赤血球の99%を占める成分で、鉄分を主成分とする)が不足したりすることで起こります。どちらも私たちの身体の隅々に酸素を運ぶ大切な役割をしています。この赤血球やヘモグロビンが不足すると、細胞に運ばれる酸素が減って貧血症状が現れます。とくに激しい運動をする人は、「いつもと同じ練習量がこなせない」「パフォーマンスが上がらない」と感じることでしょう。また、病気によって赤血球やヘモグロビンが減ることもあります。しかし、スポーツ貧血は運動をきっかけにいろいろな要因が重なって起こるのが特徴です。女性の方が貧血になりやすく、男性の3倍といわれています。月経によってヘモグロビンが失われてしまうためと考えられます。中でも20~40代の女性でダイエットに熱中するあまり、必要なエネルギー量や栄養が足りていない女性に多く見受けられるようです。では、どうして運動が貧血を引き起こすのでしょうか。
激しいスポーツによって起こる身体の悪い変化とは
「気持ちよい」程度の運動だと身体に大きな影響はありません。しかし、激しい運動を続けると次のような悪影響が強くなります。
鉄分が失われる
汗の成分の99%は水分ですが、他に塩分や鉄分なども含んでいます。うっすら汗をかくくらいでは問題ありません。しかし、たくさん汗をかくと鉄分も多く失われます。
血液が薄くなる
運動すると、身体の隅々まで血液の流れをよくしようとして、血液中の「血漿(けっしょう)」の成分量が増えます。血漿は血液の液体成分です。血漿量が増えると、赤血球やヘモグロビンなど、他の血液成分の濃度は薄くなります。
ヘモグロビンが壊される
激しい運動を続けると、足の裏の毛細血管に衝撃を与え続けることになります。すると、毛細血管内の赤血球が踏み潰され、ヘモグロビンも壊されるという連鎖が起こります。
このように、激しい運動をきっかけに、鉄分の喪失、ヘモグロビン濃度の低下と破壊によって貧血症状をきたすのが、スポーツ貧血です。
スポーツ貧血対策
激しい運動を控えるのがスポーツ貧血への対策としては一番の近道です。しかし、激しい運動を習慣としている人にとって、それでは身も蓋もありません。そこで、より現実的なポイントとしては、先ほどお伝えしたような、鉄分の喪失やヘモグロビン濃度の低下と破壊を防ぐことが基本となります。次のようなことに留意しましょう。
バランスのよい食事を3食とる
日常生活では、主食(ご飯やパン)、主菜(肉や魚)、副菜(野菜やきのこ、果物類など)を3食バランスよくとることで、鉄分をはじめとする1日に必要な栄養素は足ります。この時、運動で失われる鉄分を効率よく吸収することを意識してみましょう。鉄分はレバーや牛肉の赤身、赤身の魚に多く含まれています。これらを主菜に、副菜では鉄分を多く含み、鉄分の吸収率をアップさせる食材をとるとよいでしょう。たとえば、小松菜やほうれん草などの緑黄色野菜、納豆や豆腐などの大豆製品、ひじきなどが代表的です。
足の裏への衝撃を和らげる
クッション性の高いスニーカーを履く、運動する場所を柔らかいグラウンドやフローリングにするなどの工夫で改善されるでしょう。とくにテニスや新体操、長距離マラソンをしている人にオススメです。
いかがでしたか?以上のことを踏まえて、これから受診した時には医師とのコミュニケーションを深めて、健康な身体づくりに励んでくださいね。
<執筆者プロフィール>
吉村 佑奈(よしむら ゆうな)
保健師・看護師。株式会社Mocosuku社員。某病院での看護業務を経て、現在は産業保健(働く人の健康管理)を担当