組織の健診と自治体の健診は何が違う?目的と検査項目の違いについて
投稿日: 2022年04月13日
最終更新日: 2023年09月20日
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年齢によって項目が変わるなど複雑な一面を持つ健康診断。年齢だけでなく、会社や病院といった組織に所属している場合と、自治体で受ける場合とで健診の項目が変わったりすることもあり、分かりにくさを感じている方も多いでしょう。そこでこの記事では、組織の健診と自治体の健診の目的や項目の違いについて解説します。
健康診断の目的をおさらい
健康診断の目的は「健康を保持すること、そして、健康状態をよりよくすること」です。病気がないかどうかを調べる「検診」とは違い、現在の健康状態を知って病気の発症を防ぐことを目的に実施されています。ヒトは加齢とともに変化していきます。そして、老化につれて病気のリスクも高まります。それなのに、現在、身体がどういう状態で、病気のリスクが今後どのくらいあるのかは、自分だけで判断することができません。そこで、1年に1回、定期健康診断を受けることで、身体がどう変化しているのか、病気を発症するリスクがどれほどあるのかを調べることが重要になります。その結果、自分の健康状態を知り、必要に応じて生活習慣を見直したり、専門家の指導を受けて病気にならないようにすることは「一次予防」です。これは、健康診断の最も重要な目的でしょう。
組織VS自治体 健康診断の健診項目
一般企業などの組織に所属している人は、40歳を超えると一般的な健康診断のほかに、特定健診が受けられるようになります。もし、主婦の方で会社勤めの夫の扶養家族なら「被扶養者健診」が受けられますし、自営業の夫の扶養家族なら国民健康保険加入者のための特定健診などが受けられます。
おもな2つの健診の要領は次の通りです。
組織で実施されている健康診断
<目的>
従業員が健康な状態で働くことが目的です。会社は、従業員の雇用時と、その後1年以内ごとに1回、健康診断を実施する責任があり、違反したら罰則が科されます。一方、従業員には罰則はないものの健康診断を受ける義務があります。
<検査項目>
定期健診のおもな内容は、法定項目をふくめて次のものが一般的です。
・身長・体重・腹囲・視力・聴力
・胸部レントゲン(胸部X線検査)
・血圧
・血液検査(貧血、肝機能、血中脂質、血糖、腎機能)
・尿検査(尿糖・尿たんぱく)
・心電図検査
・胃バリウム検査(上部消化管X線検査)
・便潜血検査
なお、従業員の家族で扶養に入っていると、同じ内容の検査を受けられます。
<費用>
会社が負担することが多いようです。胃や大腸のがん、乳がんや子宮頸がんの各検診など、希望に応じてオプションを加えることもできます。オプションは自己負担で費用がかかることもあります。
自治体で実施されている健康診断
<目的>
自治体の特定健康診査は、生活習慣病の予防をおもな目的とした健康診断です。対象年齢は発症率の高い40歳以上に制限されています。
<検査項目>
身長・体重、医師による診察、腹囲、尿検査、血圧、肝機能、脂質、血糖です。会社で受けるより検査項目は若干少なくなります。
<費用>
全額補助、または一部自己負担など、自治体によってさまざまです。また、乳がんなどの検診については地域によって異なるので、住んでいる自治体(市役所など)に問い合わせてみてください。
その他
このほか、40歳未満を対象に、「区民健診」などの名称で健康診断を行っている自治体もあります。検査の内容や費用は自治体によって違うので、会社などで健康診断を受ける機会がない方は、ぜひ、確認してみてください。
<執筆者プロフィール>
井上 愛子(いのうえ・あいこ)
保健師・助産師・看護師・保育士。株式会社Mocosuku社員、産業保健(働く人の健康管理)のベテラン