ストレスがたまった時に試してみて！深呼吸によるストレス発散法をご紹介

投稿日: 2022年08月25日

「ストレス社会」ともいわれる現代。みなさんは自分なりのリラックス法を持っていますか？今回は、手軽にできる「深呼吸によるストレス発散法」をお伝えしましょう。
 

ストレスと呼吸の関係

私たちは、リラックスしているときには、ゆっくりとした呼吸になっています。反対に、ストレスを抱えていると、いつもよりも速い呼吸になっています。これには、自律神経の働きが関係しています。自律神経は、活動をしているときに優位に働く交感神経と、リラックスしているときや睡眠中に優位に働く副交感神経の2つから成り立つ神経系です。自律神経は運動神経などとは違い、ヒトの思考や意志と無関係に働く神経系で、身体の機能を調節する役割を担っています。呼吸も自律神経に左右されていて、交感神経には呼吸を速くする作用が、副交感神経には呼吸をゆっくりさせる作用があります。ストレスがかかっているときは、交感神経が活発に働いているため、速い呼吸になるのです。ですから、ゆっくりと深い呼吸をくり返し行うことによって、副交感神経の働きを活発にし、身体をリラックスモードへ切り替えることもできます。
 

深呼吸の効用

深呼吸することで次の4つの効用がうまれます。
 
血流を良くする
深呼吸を何度も行っていると、副交感神経が優位に働くようになります。副交感神経には、血管を拡張する働きもあるため、結果として血流を良くする効果が期待できます。血流が良くなると、全身の細胞に必要な栄養素や酸素が届きやすくなります。
 
肩こりや冷え、むくみの改善効果が期待できる
肩こりや冷え、むくみなどの原因として、血流の悪化が挙げられます。深正しい姿勢で深呼吸することで血流が良くなると、首や肩などの筋肉も緩み、首こりや肩こりの予防につながります。また、冷えは血管の収縮によって十分な血液が全身に行き渡らないことが原因でもあります。ですから、血流が改善されれば冷えが緩和し、老廃物が流れるのでむくみも解消されていきます。
 
腸内環境を整える
腸で行われる消化活動は副交感神経が優位に働いているときに活発に行われます。そのため、ストレスによって交感神経ばかり働いている状態が続くと、便秘や下痢などの原因となります。また、反対に副交感神経ばかりが働いている状態でも便秘などを引き起こす可能性があります。深呼吸を繰り返し行うことで、自律神経のバランスが良くなって腸内環境を整える効果が期待できるといえます。
ちなみに、腸には免疫細胞の80％が存在しているといわれていて、腸内の環境の改善は免疫力を高めることにもつながります。
 
心が落ち着き、リラックスできる
交感神経が優位に働いているときは、緊張したり、感情が高ぶりやすいですが、副交感神経が働いているときは、気持ちも落ち着き、精神状態も安定します。そのため、イライラしているときや緊張しているときに、あえて深呼吸をすることで、気持ちを静めたりリラックスさせることができるのです。
また、深呼吸をすることで、気持ちを安定させる働きを持つ「セロトニン」という神経伝達物質が分泌されることもわかっています。
 

ワンツー呼吸法のやりかた

最後に自律神経を整える「ワンツー呼吸法」のやりかたをご紹介します。
 
（１）3～4秒かけて息を吸う
（２）口をすぼめ、6～8秒かけて息を吐く
 
息を吸う時間と吐く時間の比率が1：2となっています。息を吐く時間を長くすると、胸の空間（胸腔）の圧力が上がり、胸腔内の受容体が刺激されます。この受容体を刺激することで、副交感神経の働きがより活発にさせることができるそうです。ワンツー呼吸法の効果を上げるためには、背筋を伸ばして胸を張り、姿勢を正すことがポイントです。仕事や家事で疲れたときなどに意識して行うことで、心身の健康にもつながります。ぜひ試してみてくださいね。
 
＜執筆者プロフィール＞
吉村　佑奈（よしむら　ゆうな）
保健師・看護師。株式会社Mocosuku社員。某病院での看護業務を経て、現在は産業保健（働く人の健康管理）を担当