「寒暖差アレルギー」はアレルギーじゃない!?
投稿日: 2022年10月21日
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10月に入り、朝晩は涼しい日も増えてきて、秋らしくなってきました。1年のなかでも比較的過ごしやすい秋ですが、秋特有の寒暖差によって体調不良を訴える人も出てくる時季です。最近では「寒暖差アレルギー」という言葉もよく聞くようになりましたが、どのようなものなのか、解説します。
寒暖差アレルギーとは
いわゆる寒暖差アレルギーとは、寒暖差など環境の変化などによって鼻づまりや鼻水などの症状が出ることをいいます。「いわゆる」という表現からも分かるように、この名前は通称で、専門的には「血管運動性鼻炎」といいます。血管運動性鼻炎は、寒暖差のほかにも刺激の強いにおいやタバコの煙、化粧品などによっても起こることがあります。このような刺激によって鼻の粘膜にある自律神経がバランスを崩すことが原因として考えられています。
血管運動性鼻炎はアレルギーではない
実は血管運動性鼻炎はアレルギーではありません。そもそもアレルギーは、花粉やダニ、ハウスダストといった特定の抗原(アレルゲン)に免疫機能が過剰に反応してしまうことで、鼻水や鼻づまり、くしゃみ、かゆみなどの症状が起こるものです。
一方、血管運動性鼻炎の場合は自律神経のバランスが乱れてさまざまな症状が起こります。過剰な免疫反応が働いて起こっているわけではありません。その通称から勘違いされやすいですが、いわば、“寒暖差が原因でおこるアレルギー性鼻炎のような症状”という意味合いでつけられた名前であり、実際には「血管運動性鼻炎=アレルギー」というわけではありません。
寒暖差アレルギーは治療ができる
血管性運動性鼻炎は、身体が環境に慣れることで症状が落ち着くこともありますが、症状が強い場合には耳鼻科で治療を受けることも可能です。耳鼻科では、抗ヒスタミン薬・漢方薬などの飲み薬や点鼻薬が処方されるほか、薬で症状が改善しない場合には、手術が行われるケースもあります。
なお、秋にはヨモギ、ブタクサなどによる花粉症を発症する人も多くいますし、ダニやハウスダストなど1年を通して発症しうるアレルギーもあります。原因によって対策も変わってきますから、自己判断せず耳鼻科に相談するようにしましょう。
行楽シーズンでもある秋。ちょっとした体調不良は早めに対処して、元気に秋を満喫しましょう。
<執筆者プロフィール>
吉村 佑奈(よしむら ゆうな)
保健師・看護師。株式会社Mocosuku社員。某病院での看護業務を経て、現在は産業保健(働く人の健康管理)を担当