動物に癒し効果はある?アニマルセラピーの効果について
投稿日: 2023年10月12日
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ペットは人生のかけがえのないパートナー、という方も多いのではないでしょうか。動物には癒し効果がある、とも言われていますが、実際にそのような効果はあるのでしょうか?今回は、「動物の癒し効果」について考えてみましょう。
アニマルセラピーの歴史
動物は治療法のひとつとして、古くから医療の現場で活躍していました。みなさんも「アニマルセラピー」という名前を聞いたことがあるかと思います。その歴史は古く、なんと古代ローマ時代には馬を使ったホース・セラピーが行われていたそうです。その後、イルカによるセラピーなども行われていますが、とくに20世紀以降は犬が用いられることが増えてきました。これには、体の大きさ、数、トレーニングのしやすさなどが関係しているようです。
アニマルセラピーの効果
アニマルセラピーには次のような効果が認められています。
癒し効果
動物とふれあうと、愛情ホルモンともいわれる「オキシトシン」が分泌します。その結果、気持ちが安らいだり、癒しを感じることができます。
血圧の低下
犬とのふれあいを通して血圧が下がったという報告があります。はっきりとした理由はわかっていませんが、動物と一緒にいることでリラックスし、副交感神経が活発になることが関係していると考えられています。
身体機能の回復
ホース・セラピーには、身体機能の回復効果が認められています。たとえば、脳性麻痺などで神経に障害が残ってしまった場合、乗馬など馬を用いた治療を行うことで、筋肉の過度な緊張をほぐしたり、平衡感覚を回復させる効果があることがわかっています。
カタルシス効果
カタルシスとは、心に秘めた感情を表現し、洗い流す(浄化)ことをいいます。ものを語らない動物は、人が話すことを否定することもありません。ですから、私たちも安心して負の感情も出すことができます。
このようなアニマルセラピーの効果、なかでも「癒し」など人の内面にかかわる効果は、実験などで簡単に数値化できるわけではなく、今も研究が続けられています。けれども、お話ししたように、すでに医療の現場では多くの動物たちが活躍していますし、最近では、認知症や自閉症の治療にも用いられています。さらに、動物たちが活躍する場は医療の現場だけにとどまりません。介護の分野で活躍する犬たちも増えてきています。このような活動の広がりから、動物には人を癒す効果があるといっても過言ではないでしょう。そのいっぽうで、動物虐待や捨て犬・捨て猫、殺処分の問題なども後を絶ちません。癒しを与えてくれる動物たちへの接し方について、私たちもまた、真剣に考えていかなければいけませんね。
<執筆者プロフィール>
吉村 佑奈(よしむら ゆうな)
保健師・看護師。株式会社Mocosuku社員。某病院での看護業務を経て、現在は産業保健(働く人の健康管理)を担当