熱中症だけじゃない!夏に気をつけたい「夏血栓」とは
投稿日: 2022年08月03日
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近年の夏の暑さは異常で、メディアなどがよく「危険な暑さ」と言っていますね。危険といわれるゆえんは、暑さによって体温調節が効かなくなると、体調不良に陥りやすいだけでなく、病気に発展してしまうことがあるからです。その代表的なのは「熱中症」ですが、これと並んで夏に気をつけたいのが「夏血栓」です。そこで今回は、「夏血栓」について解説します。
夏血栓とは
猛暑で体調が崩れ、目まい・吐き気・ふらつきといった症状が出てきたら、熱中症が疑われますが、実は、夏血栓も初期には熱中症と同じ症状が現れると言われています。
とくに夏血栓の場合は、暑さのせいで脱水状態が起こることによって、体内の血液がいわば「ドロドロ」な状態、つまり、血管に血の塊である「血栓」が作られてしまい、これが、血管を詰まらせてしまう状態を引き起こしてしまいます。さらに発展すると、心筋梗塞や脳梗塞の状態になる危険もあります。
脳神経の専門医によると、血の塊ができる血栓というと冬にできるイメージが一般人にはあるかもしれないけれど、実は夏に多発しているとのこと。夏場は脱水によって血液中の水分が減るので、流れている赤血球などが詰まりやすくなることと、暑さで皮膚の表面の血管が拡張して血圧が低下するからだそうです。
突然死もありうる怖い病気だとされています。
夏血栓と熱中症の違い
症状は似ていても熱中症と夏血栓には違いもあると言われます。熱中症では体温の上昇が起こり、体温調節が効かなくなり。高温・高熱になって、脈が速くなったり呼吸が荒くなったりしますが、夏血栓にはこれらは見られません。
反対に、熱中症には見られず夏血栓で起こるのは、顔や腕に現れる「マヒ」です。これは、脳梗塞の前兆とも言われる「一過性脳虚血発作」によるもので、口や眉毛が片方だけ歪んだり、片腕にしか力が入らなかったり、急に片目が見えなくなる、ろれつが回らない、水を口に含んでもうまく呑み込めなくてこぼしてしまうといった症状が起こります。
なお、熱中症の場合は中度以上で意識がハッキリしていない場合に救急搬送が要請されますが、夏血栓の場合は一刻も早い救急搬送が必要です。専門医によると発症から治療にかかるまでのデッドラインは4時間半とのこと。これを超えると生命の危険度が高まるとされているそうです。
熱中症だけでなく夏血栓も予防しよう
熱中症も夏血栓も予防としては水分補給が大切です。血液が脱水状態にならないように、のどが乾いたら我慢をしないで少しずつ水分補給をする、というのがコツです。
これに加えて、夏血栓の場合は血液をいわば「ドロドロ」にしない予防も必要です。青魚に含まれるEPAは血液をサラサラにしてくれますし、カカオが70%以上含まれる「ハイカカオ」チョコレートも、含まれているフラボノイドが血管をしなやかに保ってくれます。納豆、玉ねぎ、ミルクなどもおすすめです。
<執筆者プロフィール>
井上 愛子(いのうえ・あいこ)
保健師・助産師・看護師・保育士。株式会社Mocosuku社員、産業保健(働く人の健康管理)のベテラン