インフルエンザワクチンについておさらい
投稿日: 2022年10月12日
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今年の冬は新型コロナウィルス感染症とインフルエンザの同時流行が心配されています。インフルエンザの予防手段として有効なワクチン接種。大人になってから一度も接種していない、という人もいるでしょうが、今年の流行予想を見ると、接種すべきか否か、きちんと考えたうえで結論を出したほうが良さそうです。そこで、インフルエンザワクチンについて、おさらいしてみましょう。
インフルエンザとは
インフルエンザは「インフルエンザウイルス」に感染して起き、発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛などの全身症状を引き起こします。さらに、高齢者や小さなお子さん、持病がある方などは、肺炎や脳症などの合併症を起こし重症化することもあります。
インフルエンザウイルスは、口や鼻などの粘膜から体内に入り、細胞に侵入して増殖します。これを「感染」といいます。ウイルスが増殖して数日の潜伏期間を経て症状が現れ「発病」します。感染しても、自分の免疫によりウイルスに抵抗できれば発病しないため、同じ環境にいても発病する人としない人がいるのです。保育園などに通う世代の小さなお子さんはこの「抵抗力」がまだ低く発症しやすいこともあり、多くの方が予防接種を受けているのでしょう。
インフルエンザワクチンの役割
インフルエンザの予防接種で使用するインフルエンザワクチンは、感染性を失わせたインフルエンザウイルスです。それを体内に入れることで、そのウイルスに抵抗する役割を果たす「免疫細胞」を作り、それ以降にインフルエンザウイルスが入ってきたときに抵抗する力を高めるのが目的です。つまり、ウイルスが侵入(感染)してから発病させない、また、発病しても重症化を抑えるのが大きな役割なのです。感染を完全に抑えるものではありません。
また、抵抗力には個人差があるため、インフルエンザワクチンを接種してもインフルエンザにかかる場合とかからない場合があるのです。
インフルエンザの患者数を見てみると、70歳以降が最も多く、次いで0~4歳、5~9歳、10~14歳の順で徐々に減っていきます。高齢者と小児に多く、小児の年齢で見ると年齢が上がるにつれてかかりにくくなるということは明らかです。抵抗力が低いとかかりやすいということですから、この抵抗力を予防接種によって高めるということは、発病や重症化を予防する上では一定の効果があることが認められています。
インフルエンザワクチンのデメリットは?
抵抗力をつけるためにワクチンを接種したときに、それ以外の反応が起こることがあり、これを「副反応」といいます。比較的多く起こる副反応には、接種した場所の赤み、腫れ、痛みなどがあって、接種を受けた方の1~2割に起こります。全身性の反応では、発熱、頭痛、悪寒、倦怠感などがみられ、接種を受けた方の1割程度に起こります。どちらも通常2~3日でなくなります。また、まれにアナフィラキシー様症状(発疹、蕁麻疹、赤み、かゆみ、呼吸困難等)がみられることがあります。これらのアレルギー反応は、接種後比較的すぐに起こることが多いため、接種後30分間は接種した医療機関内で安静にしているよう注意喚起されています。
コロナワクチンでも副反応は話題になりましたが、お薬やワクチンには少なからず副作用の可能性はあるものです。大事なのは、起こった場合には適切な対処を受けることです。
ちなみに、インフルエンザワクチンは任意であるため、お金と時間がかかることもデメリットのひとつといえます。インフルエンザワクチンを接種したからといって必ずかからないわけではありませんが、発病するリスクや重症化を予防するのが目的の予防接種です。
なお、コロナワクチンとの同時接種が可能かどうか気になるところですが、これについて厚生労働省は「同時接種は可能」という見解を出しています。ただし、副反応が気になる人もいるでしょうから、実際に主治医と相談しながら決めることをおすすめします。
今年の冬は新型コロナウィルス感染症とインフルエンザの同時流行が懸念されています。ワクチン接種と併せてほかの基本的な感染対策もしっかり講じて、流行期を乗り切りたいところですね。
<執筆者プロフィール>
吉村 佑奈(よしむら ゆうな)
保健師・看護師。株式会社Mocosuku社員。某病院での看護業務を経て、現在は産業保健(働く人の健康管理)を担当