ビジネスマナー「席次」のルールを解説
投稿日: 2022年11月14日
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ビジネスマナーについては過去に取り上げたこともありますが、その中でも今回は鉄則の一つ「席次」のルールについてご紹介します。
席次とは
席次とは、席に座る(立つ)順番を言います。お客さまや目上の人には、敬意を表して、いちばんいい席「上座(かみざ)」にお通しします。エレベーター、会議室、応接室、乗り物、すべての場所でルールがあります。機械的に覚えるのではなくて、「お客さまや上司にとって、どこの席がいちばん心地いいか」ということを考えるようにしてくださいね。「上座」は「奥の席」とも言うので、「奥へどうぞ」と声をかければ間違いはありません。
エレベーターの場合
エレベーターが来たら、新人や若手の人は「我先に」と乗り込んではいけません。目下はドアを押さえて、お客さまや上司に先に乗っていただきます。一般的にエレベーターの中では、入口から見て奥左が最上座、操作ボタンの前が下座となります。最後に自分がエレベーターに乗り込んだら、壁のほうに背中を向けます。くれぐれもゲストにお尻を向けないようにしましょう。降りる時は操作盤の「開ボタン」を押しながら、もう片方の手で扉を押さえ、目上の人に降りていただきます。「開ボタン」を押すのは、うっかりして「閉ボタン」を押してしまうこともあるからです。扉を押さえておけば、ゲストにも安心感を与えて、好感度アップです。
応接室・会議室の場合
応接室にお客さまを案内したら、「こちらにおかけください」と言って座る席をお勧めします。原則として、出入り口から遠い席が「上座」、近いところが「末席」となります。ゲストは、話に集中できる奥の席にお通しするという考え方です。開け閉めがあって落ち着かない出入り口は、ゲストのために立ち働く人が座る場所になります。長ソファーと1人掛けのソファーがある場合、基本的にゆっくりとくつろげる長ソファーのほうが格上となります。見事な掛け軸がある場合や、眺望が臨める大きな窓がある場合は、それらがよく見えるところが「上座」になります。会議室は、参加人数やテーブルの形によって異なりますが、出入り口から遠い席が「上座」というのは同じです。
車の場合
車の席次は2種類あります。タクシーでは、「運転手の後ろの席」がいちばん安全なので「最上位」となります。次は「助手席の後ろ」、「後部座席の真ん中」という順番になり、案内や料金のやり取りをする「助手席」がいちばん末席になります。メンバーの中の誰かが乗用車を運転する場合は、席次が違ってきます。最上席は、助手席になります。以下、「運転手の後ろの席」、「助手席の後ろ」、「後部座席の真ん中」になります。これはあくまでも原則なので、後部座席に1人で座る場合などは、ゆったりと座れるので、後部が「上座」になります。いずれにしても、その時の状況を見極めて臨機応変に。
席次は上下関係をはっきりさせて敬意を表すためのマナーです。席次は守っても態度が横柄だと逆効果。席次の意味を理解して、「私が自ら雑事をさせていただきます」ということがお客さまや上司にわかるように、「見える化」してください。「上座・下座」に対して日本人はとても敏感なので、くれぐれも粗相がないように気をつけましょう。
<執筆者プロフィール>
井上 愛子(いのうえ・あいこ)
保健師・助産師・看護師・保育士。株式会社Mocosuku社員、産業保健(働く人の健康管理)のベテラン