あったかくて気持ちいい!ホットカーペットを使う時の注意点
投稿日: 2023年12月07日
![ホットカーペット](https://www.kangoworks.com/knowledge/wp-content/uploads/2023/12/pixta_66155655_M-560x373.jpg)
だんだんと寒さが増し、暖房器具が活躍する時季になってきました。そのひとつにホットカーペット(電気カーペット)がありますね。温かくて気持ちはいいのですが、使い方を間違えると思わぬトラブルを招くことがあります。そこで今回はホットカーペットを使う際の注意点をご紹介します。
このページの目次
ホットカーペットのリスク
ホットカーペットには、中にコードヒーター(線状のヒーター)や温度センターなどが内蔵されています。コードヒーターは発熱して温める役割を、温度センサーは温度が熱くなり過ぎないように温度調節する役割を果たしています。この温度センサーには、「サーモスタット式」と「感熱線式」という2つのタイプがあります。サーモスタット式は、「サーモスタット」と呼ばれる機器がカーペットの中に設置されているタイプで、サーモスタット周辺の温度を感知して、温度調節を行っています。一方、感熱線式は、コードヒーターの中に温度を感知する検知線が内蔵されているため、コードヒーターがある部分であればどこでも温度を検知して、調節することができます。そのため、感熱線式の方が温度調節の機能性が高く、快適な温度を保つことを可能にします。ただしその分、値段も高いといわれています。ところで、国民生活センターは2004年に、ホットカーペットの使用によって起きたトラブルや対策をまとめ、注意喚起を出しています。その中で、次のような被害報告が発表されています。
低温やけど
低温やけどとは、体温よりもやや高い温度のものに長時間接触することで、やけどの症状が現れるものをいいます。皮膚の赤みや水ぶくれなど一見軽症に見えるものでも、皮膚の深部まで損傷していることもありますし、ひどい場合には皮膚の移植や患部の切除が必要になることもあります。報告によると、これまでの実験では、接触部分の温度が44℃の場合、およそ6時間で低温やけどが起こることがわかっています。国民生活センターが5つの銘柄を対象に行ったテスト検査では、すべての銘柄で表面温度が42℃以上で、45℃を超えるものもあったことが明らかになりました。以上のことを踏まえると、とくに夜間にホットカーペットの上で寝て朝まで過ごしてしまった場合、低温やけどのリスクはかなり高く、危険であるといえます。
熱中症
ホットカーペットが活躍する季節は秋や冬ですから、熱中症の被害報告があるなんて意外に思われるかもしれません。熱中症は体温の調節がうまくできなくなることで現れる、めまいや疲労感、けいれんなどの症状のことをいいます。たとえば、ホットカーペットの上に布団を敷いて眠っていると、だんだんと布団内の温度や湿度が上昇していきます。国民生活センターが行ったテスト検査では、背中の下の温度は38.2~39.0℃、湿度は70.9~90.4%にまで高くなっていて、最終的には体温が40℃以上にもなる可能性があったことが明らかになりました。以上の結果から、このような状況で睡眠をしていた場合、とくに健康な成人に比べて脱水症状になりやすい乳幼児や高齢者については、熱中症のリスクがかなり高いといえます。
その他インターネット上では、ホットカーペットの電磁波が身体に影響を与えるのではないか、と心配する声がしばしばみられます。けれども、現時点で明確なことは分かっておらず、公的な機関からも人体に対する影響については報告されていません。しかし、このような声を受け、現在では電磁波をカットしたホットカーペットも販売されています。
ホットカーペットを使うときの注意点
国民生活センターでは、これまでの被害報告やテスト検査の結果を受け、使用上の注意点をまとめています。ここで改めて使用時の注意点を確認しておきましょう。
身体の同一部位を長時間ホットカーペットに触れないようにする
先に述べたように、低温やけどは長時間、同じ場所がやや高い温度のものに触れていることで起こります。そのため、同一部位が長時間ホットカーペットに触れないように、こまめに体勢を変えるなどしましょう。とくに、糖尿病を患っている方で神経障害が出ている場合は、温度に対して鈍感になっているため、低温やけどが起こりやすくなります。注意しましょう。
就寝時は使用しない
就寝時の使用は低温やけどや熱中症のリスクを高めます。そもそも就寝時に使用することは、どの銘柄も禁止していますから、取扱説明書を読み、決められた使用方法以外では使わないようにしましょう。
周囲の人も注意をする
とくに小さな子どもや高齢者がいるご家庭では、長時間同じ姿勢で使用させない、就寝時は電源を切るなど、周囲の人も注意を払うようにしましょう。
<執筆者プロフィール>
井上 愛子(いのうえ・あいこ)
保健師・助産師・看護師・保育士。株式会社Mocosuku社員、産業保健(働く人の健康管理)のベテラン