ニオイが気になる・・・、ニンニクやニラを食べ過ぎた時はどうすればいい?
投稿日: 2024年06月03日
ニンニクやニラなどは、おいしいけれどニオイが気になる食材の代表格です。おいしく食べたいけれど、ニオイも気になるし・・・そう思って食べるのを躊躇している方に向けて、対策をご紹介します。
このページの目次
ニンニク臭の正体は?
ニンニクもネギもニラも同じヒガンバナ科(旧ユリ科)に属する植物です。「香味野菜」とも呼ばれるこれらの食材は、どれも香りが強いことが特徴です。キムチにもこれらの食材が使われているので同じにおいがします。俗に「ニンニク臭」とも呼ばれる口臭は、香味野菜の強い香りがそのまま口臭になったような感じで、ニンニク好きの人にはよくても、そうでない人や職場などでは敬遠されてしまうこともしばしばあります。ところで、このにおいの原因は「アリシン」という化合物です。ネギやニンニクに含まれている硫黄化合物のアリインが、調理されることによって傷つけられ、酵素の作用によってアリシンが生成されて、独特の刺激臭を発するようになります。また、アリシンは体内で吸収・分解され、肺に達して気化すると、口臭となって出てきます。肺から出てくるにおいのため、食べたあとに歯磨きなどの口臭ケアをしても消すことができません。また、におい成分は汗と一緒に排出もされるので、体臭がきつくなり、食べた翌日までにおいが残ることもあります。
悪いことばかりではない!アリシンの働き
ニンニク臭の原因であるアリシンですが、悪い面ばかりではありません。アリシンには強い抗酸化作用があり、血流改善・疲労回復・血糖値抑制・殺菌など、多くの健康効果があることも知られています。また、消化液の分泌を促進するので、食欲が増進し、整腸効果も得られます。さらに、アリシンは病原体から身体を守る免疫を担当するNK(ナチュラルキラー)細胞を活性化させるので、免疫力がアップし、がん予防の効果がある成分でもあります。
ニンニク臭のニオイ対策
このように、健康や美容にはよいのですが、反対に、社交場面では食べたあとのにおいが気になってしまうなどデメリットがあります。これを何とかすることはできるのでしょうか。次のような対策が効果的といわれています。
消臭効果の高い食品を一緒に食べる
カテキンやたんぱく質はアリシンなどのにおい成分と結びついて化学反応を起こし、においのしない状態にする作用があります。
・カテキンを多く含む食品:青汁、緑茶、りんご(皮つき)など
・たんぱく質を含む食品:牛乳、豆乳
ニンニクやネギ、ニラ、キムチを食べる前後にこうした食品を食べると、気になるにおいを軽減することができるのでおすすめです。
汗をたくさんかく
におい成分は一定の時間が経つと、身体の新陳代謝によって消えていきます。ですから、代謝を促してやるとにおいが消えるまでの時間を短くすることができます。たとえば、ぬるめのお風呂に長めにつかったり、運動をしたり、サウナに入ったりして汗をかき、血液の循環をよくして代謝を促進しましょう。
口臭サプリメントを飲む
会議や営業など、どうしても今すぐに口臭を消したい場合は、口臭サプリメントを活用してみるのもよいかもしれません。ただし、こうしたサプリメントの多くは、一時的ににおいを覆い隠す「マスキング効果」であるということは忘れないようにしましょう。
調理方法を工夫してにおいを軽減する
次のような調理法も、においを軽減してくれます。
加熱する
香味野菜は一般に、生の方が加熱したものよりにおいが強く、火を通すことでにおいを弱くすることができます。焼いたり炒めたりするとよいでしょう。アリシンは熱に弱いので、火を通すことでにおいが軽減できます。そして、加熱することでアリシンはスコルジニンという成分に変化し、新陳代謝を促してくれるので、加熱したからといって健康効果が弱まることはありません。
ちなみに、アリシンはニンニクやネギ、ニラなどの細胞が傷つくことで生成されるので、細かく刻めば刻むほどそのにおいは強くなります。ですから、あまりにおいを出したくないときは、加熱するときにみじん切りにせず、スライスするくらいにしておくとよいでしょう。
肉や魚といっしょに調理する
アリシンはたんぱく質と結合するとにおいが軽減されるので、ニンニクやネギ、ニラを肉や魚と一緒に調理するのもおすすめです。肉や魚にも適度に香りが添えられて、うまみも増します。たとえば、レバニラ(レバーとニラ)や鶏肉の香草焼き(鶏肉とニンニク)などはよく合う組み合わせです。
<執筆者プロフィール>
井上 愛子(いのうえ・あいこ)
保健師・助産師・看護師・保育士。株式会社Mocosuku社員、産業保健(働く人の健康管理)のベテラン