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訪問看護の料金はどのように決まる? 介護保険と医療保険の使い分け

投稿日: 2019年11月15日
最終更新日: 2024年02月21日

訪問看護の料金はどのように決まる? 介護保険と医療保険の使い分け

 
執筆:井上 愛子(保健師・助産師・看護師)
医療監修:株式会社とらうべ
 
 
皆さんは、訪問看護の料金がどのような仕組みで決まるかご存知でしょうか?
 
利用者の状態や年齢、使用する保険制度によっても変わる訪問看護の料金体系は複雑です。
 
適切な在宅医療を提供するために判断や対応が求められる場面も多く、訪問看護師にとっては必須とされる知識です。
 
詳しくみていきましょう。
 

 

訪問看護を利用する流れ

 
最初に利用者の目線になって、訪問看護を利用するプロセスを確認しておきましょう。
 
訪問看護は、子どもから高齢者まで年齢を問わず、また、病状や障害の程度に関わらず、必要とする人は誰でも使えるサービスです。
 
利用するきっかけとして多い理由は、入院患者が退院して自宅で療養するケースです。
 
自宅で過ごすために必要な環境や医療的なケアについて、入院している病院のスタッフ、ケアマネージャーなど地域の担当者、患者、家族が話し合い、退院の準備を進めていきます。
 
ここで訪問看護が必要と判断される場合、介護保険と医療保険のどちらを利用するのか、という点が鍵になります。
 
介護保険を使う要件は、65歳以上で要支援や要介護の認定を受けていることです。
 
介護保険の対象になる可能性が高くても、認定を受けていない人もいますので、このケースでは、まずは地域包括支援センターや市区町村の窓口で申請する手順からスタートします。
 
認定を受けた上で担当のケアマネージャーと相談し、主治医の訪問看護指示書をもとに、訪問看護ステーションに依頼してもらいます。
 
一方、介護保険が利用できない、もしくは、介護保険が利用できる人でも特定のケースに該当する場合は、医療保険の適用になります。
 
医療保険も主治医の訪問看護指示書があって初めて使えます。
 
かかりつけ医から訪問看護ステーションへ連絡や相談があり、これを踏まえて訪問看護をスタートするというケースもあります。
 
 

「介護保険」と「医療保険」の使い分けとは?

 
それでは実際に2つの保険を使い分ける時の、チェックポイントをご説明します。
 
 
●ポイント1:介護保険認定の有無
 
まずは、介護保険認定制度の利用可否を確認します。
 
介護保険を利用できる年齢は基本的に65歳以上ですが、40〜64歳でも末期がんや関節リウマチなど、介護保険上の「特定疾病」に当てはまる第2号被保険者であれば、介護保険が適用されます。
 
したがって、これに該当しない40歳未満および要介護認定者ではない40歳以上の人は、医療保険の対象となります。
 
 
●ポイント2:要介護認定者の場合、「厚生労働大臣が定める疾病等」や特別なケースに該当するか
 
次に、要介護認定者であっても、末期の悪性腫瘍など「厚生労働大臣が定める疾病等」に該当する場合は、医療保険の適用となります。
 
さらに、特別なケースとして「特別訪問看護指示書」が交付された日から14日以内は医療保険が適用され、これが可能となる条件は以下のとおりです。
 
 (1) 心不全や肺炎などの急性増悪
 
 (2) 疾病に関係なく終末期である
 
 (3) 退院直後である
 
 
つまり、在宅に移行する時期やターミナル期などは、医療保険を使って手厚い看護を受けられるということになります。
 
訪問看護を医療保険でカバーできれば、介護保険をほかのサービスなどで有効利用するなど、選択肢も増えます。
 
該当するケースで訪問看護師が医療保険の利用を提案すれば、利用者の生活が大きく変わる可能性もありますから、この知識は必須といえます。
 
 

訪問看護:医療保険の使用には利用制限がある

 
ところで、医療保険を使う場合、原則的な制限が設けられている点には注意が必要です。
 
介護保険を利用する際は、要支援や要介護度に合わせたケアプランに盛り込める範囲であれば問題ありません。
 
しかし、医療保険の訪問看護は「1日1回、週に3回まで」、利用できる訪問看護ステーションは1ヶ所のみ、と決められています。
 
ただし、前述のとおり、厚生労働大臣の定める状態や疾病に該当するケース、急性増悪時などは、医療保険であっても1日に複数回の訪問や毎日の利用、2ヶ所の訪問看護ステーション(条件に該当する場合は3ヶ所)の利用が可能になります。
 
基本は介護保険の利用が優先されますが、ケースに応じて医療保険も適用されること、また、それぞれ利用上の条件があることを把握しておきましょう。
 
 

訪問看護:料金の実態

 
ここまでの内容を踏まえ、実際に訪問看護を利用するとどれくらい料金がかかるのか、具体的にみていきます。
 
介護保険を利用する場合、週1回、1時間、加算料金なしとして、1割負担であれば800円程度と推定されます。
 
ただし、1〜3割の自己負担額は所得や年齢で異なります。
 
また、訪問する時間や所要時間、初回、緊急時、複数名の訪問、といった条件に応じて加算分が上乗せされる点にも注意が必要です。
 
要介護度や看護の必要性を考慮してケアプランを作成し、訪問看護の利用回数によってトータルの料金は変わってきます。
 
一方、医療保険で訪問看護を利用するケースでは、週1回、1時間、加算料金なしとして、3割負担であれば3000円程度と推定されます。
 
ただし、介護保険と同様に、年齢や所得に応じた1〜3割の自己負担額によって料金が異なるほか、加算や月の利用回数、交通費なども考慮する必要があり、正確な料金は条件次第で大きく変わります。
 
なお、月々の支払いが自己負担限度額を超えると、高額療養費制度の対象となり超過分は支給してもらえます。
 
それぞれの保険を利用した場合の料金や加算、交通費など、自己負担額に応じた目安をホームページなどに掲載している事業所も多くみられます。
 
利用する人にとって重要事項でありながら、詳細を理解するのが難しい訪問看護の利用料金。
 
診療報酬の改定など、国の政策によっても左右されます。
 
ですから、訪問看護師として働くにあたっては、保険の原則や制度の定義、所属する事業所の規定を把握し、最新情報を捉えておく姿勢が求められます。
 
 

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訪問看護の料金はどのように決まる?介護保険と医療保険の使い分け:まとめ

 

  • 訪問看護は、年齢や病状を問わず、サービスを必要とする人は誰でも利用できる
  •  

  • 訪問看護を利用するきっかけとしては、入院患者が在宅へ移行するタイミングが多い
  •  

  • 訪問看護を利用する場合、介護保険と医療保険ではまず介護保険が優先される
  •  

  • 介護保険の対象にならないケースでは、医療保険を使って訪問看護サービスを受けることになる
  •  

  • 要介護認定者であっても、特定のケースに該当すれば医療保険が適用される
  •  

  • 医療保険を使って訪問看護を利用する際は、制限が設けられている
  •  

  • 実際の料金は、利用する保険や加算の条件、利用頻度などにより大きく異なる
  •  

  • 訪問看護に従事する際は、料金や保険の原則、事業所の規定などの理解が大切である
  •  

  • 状況に応じて適切な保険を使った訪問看護の利用を提案することで、利用者の生活の質が変わる可能性も考えられる

 
こちらの記事もぜひご覧ください。
需要が高まる「訪問看護」の仕事内容とは
 
 
<執筆者プロフィール>
井上 愛子(いのうえ・あいこ)
保健師・助産師・看護師。株式会社とらうべ社員、産業保健(働く人の健康管理)のベテラン
 
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供
 

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