緩和ケアの看護師求人/病院・施設情報

緩和ケアとは

緩和ケアとは、がんなど生命を脅かす病気を抱えながら生活をしている患者さんとその家族に対して行われるケアです。終末期の看取りの看護と思っている人が多いようですが、実際は病気が発見された段階から「身体の苦痛」「こころの辛さ」「社会的問題による辛さ」を含め、総合的に苦痛を和らげて「その人らしく生きる」ことを支援するものです。

緩和ケアは治療を行うのではなく、あくまでも苦痛を和らげるという点に主眼を置いています。そのため、緩和ケア病棟は一般病棟とは異なる、独特の環境になっています。たとえば、畳の部屋やキッチン、中庭があるところや、ペットと面会ができるところなど、さまざまな工夫が施されています。一般病棟では、患者の病気や状態によっては入院生活に制限が強いられることもありますが、緩和ケア病棟では心や体の痛みを緩和するケアを提供し、「その人らしい」生活が送れるよう支援しています。

緩和ケア：看護師の役割

緩和ケアを提供するなかで、看護師が担う最も重要な役割は、「ケアをするチームの調整」と言えるでしょう。緩和ケアでは、患者と家族の苦痛を取り除くためにあらゆる視点からアプローチします。そのため、多職種との連携を図りながら進めていくことが大切です。チームには医師、薬剤師、理学療法士、臨床心理士、栄養士、ソーシャルワーカーといった職種の人が関わっています。看護師は、いちばん長く患者の側で時間をともにする立場にいます。ですから、患者と関わるなかでその人の人生観や価値観を知り、日々の些細な変化を察知し、患者の情報をより正確により細かく把握する必要があります。このことによって、多職種と情報を共有した際に患者の問題が明確になり、患者の希望に沿った支援につながるのです。

緩和ケア：看護師の働き方

緩和ケアに従事できる職場は病棟に限られません。それ以外にも、緩和ケア外来や緩和ケア特化型ホーム、緩和ケアに力をいれている訪問看護ステーションもありますので、看護師の働き方も多様です。外来の場合は日勤のみの勤務も可能です。また、病棟では常勤が多くなりますが、他の職場では常勤や非常勤の混合もあります。

緩和ケアに携わりたいという人は、自分の希望にあった働き方を模索しつつ、職場を選択するとよいのではないでしょうか。

緩和ケアへ転職するときの留意事項

このように、緩和ケアに携わることのできる職場は複数あるのですが、病棟への転職を希望している場合は少し状況が違います。緩和病棟の数自体が少ないため採用の間口が狭く、なかなか転職先がみつからない可能性があるからです。したがって、転職活動をする際は、期間に余裕をもって臨まれることをお勧めします。

また、緩和ケアに携わりたいと考える方の多くは、死に向かう患者に対して「何かしてあげたい」という純粋な気持ちが根底にあると思います。しかしながら、現実には患者から「死ぬのが怖い」「こんなに辛い思いをするなら死んだほうがまし」など、悲嘆や絶望といった感情が看護師への暴言として向けられる場面も想定できます。そうした状況を目の当たりにしたとき、看護師の立場でどのように対応すべきか戸惑い、患者や家族に寄り添えているのか不安に感じることも多いようですから、この点は十分に留意してください。とはいえ、患者にとっては傍にいて自分の話を聞いてもらえるだけでも、孤独感や苦しみが軽減されほっとするものです。看取る機会も多く、精神的なストレスにさらされやすい点は否めませんが、その分得られるやりがいも大きい仕事といえます。

＜執筆者プロフィール＞

吉村 佑奈（よしむら・ゆうな）

保健師・看護師。株式会社 とらうべ 社員。某病院での看護業務を経て、現在は産業保健（働く人の健康管理）を担当

＜監修者プロフィール＞

株式会社 とらうべ

医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供